石川県の焼き物、伝統工芸「九谷焼」の魅力とは?

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今年は年始から大きな地震もあり、石川県はまだまだ復興の途中です。被災した石川県の皆さまが少しでも早く日常を取り戻せるよう、また、亡くなられた方々のご冥福をお祈りしますとともに、ご家族の皆さまが少しでも明るい気持ちで過ごせるよう心よりお祈り申し上げます。

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石川県が誇る伝統工芸品は輪島塗や加賀友禅などたくさんありますよね。今回はそのたくさんある伝統工芸品の中でも石川県能美市や加賀市を中心に伝わる「九谷焼」の魅力についてご紹介したいと思います。

九谷焼はその美しい色彩や繊細な絵付け、そして謎の100年を経た歴史とすばらしい職人達の技術で多くの人々を魅了しています。茶道具から日常生活の器まで幅広く製作され、伝統と革新が見事に融合した作品は、石川の風土や文化を感じさせます。


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九谷焼って何?

九谷焼の歴史

九谷焼は、石川県加賀市九谷(くたに)地域で生まれた陶器磁器です。その歴史は古く、約370年前の江戸時代に始まります。当初は茶道具や日常生活で使用する器として製作されていましたが、突然の生産終了と共におよそ100年もの間生産されることなくひっそりと姿を消しました。その後、江戸時代後期に加賀藩で京都の磁器職人により復活を果たすことになります。

この復活前の九谷焼を「古九谷(こくたに)」、復活後を「再興九谷(さいこうくたに)」と呼ばれています。

復活は成功したものの、明治時代には藩からの支援が途絶えてしまい、またも苦境に立たされます。しかし職人達は諦めることなく、技術を磨くことにより芸術性が高まり、茶道や贈答品としても人気を博するようになりました。そんな時代背景から窯ごとの作風や窯ごとの技法が現代まで伝わっています。

特徴

九谷焼は、日本を代表する色絵陶磁器(いろえとうじき)の一つです。日本の焼き物には素材にこだわるものや、独特な模様、釉薬を使わないなど様々な特徴がありますが、九谷焼はその色彩と「上絵付け」という技法が特徴です。

「上絵付け」とは本焼きした後、「釉薬」という液体の浸透を防ぎ光沢を出す薬品の上からさらに顔料で絵付けをして、再度焼く技法です。

窯元によって使われる色彩やデザインは異なり、通称「九谷五彩」と呼ばれる『赤、黄、緑、紫、紺青』を使った花鳥風月のデザインが有名ですが、赤や金のみで描かれる繊細なデザインの「赤絵細描(あかえさいびょう)」や、赤を使わない四彩のみを使用する「青手古九谷」など、窯元ごとに作風が大きく異なります。この技法により、豊かな色彩と繊細な絵付けが生み出され、季節の移り変わりや自然の風景、動植物などが美しく表現されます。

作品がどこの窯元かを知りながら鑑賞することで、その個性や特徴を楽しむことができます。

代表的な窯元

古九谷(こくたに)

九谷焼にはさまざまな種類や代表的な窯元がありますが、「古九谷」はその中でも特に知られた窯元の一つです。

古九谷は、九谷焼の中でも歴史の長い窯元で、江戸時代前期からの伝統を持っています。途中100年もの間窯を閉じるという歴史もありましたが、現代でもその技法や様式が伝えられています。

古九谷の作品には、五彩(赤、黄、緑、紫、紺青)を使用し、大胆かつのびのびとしたデザインで九谷焼の王道とも言われています。

木米(もくべい)

「木米」は、九谷焼の代表的な窯元の一つです。木米は、江戸時代から続く歴史を持ち、九谷焼の伝統を受け継ぐ名門窯元として知られています。

木米の特徴は、九谷焼が100年もの間窯を閉じたのちに再興されるのですが、そのきっかけとなったのが京焼の陶工、青木木米と言われています。

木米は五彩(赤、黄、緑、紫、紺青)を使用していて、作風は伝統画風「時代絵」のひとつで、こどもや老人、仙人など中国風の絵に全体を赤く色付けしたのが特徴です。

永楽(えいらく)

「永楽」もまた、「時代絵」一つで、開窯の際に京都から京焼の陶芸家永楽和全を招き、製陶の指導を受けた事が名前の由来です。作風は木米や古九谷とは違い、赤を全体に塗った後に、金で装飾する「金襴手」という手法で龍や鳳凰、唐草模様などを描きます。とても豪華な見た目から、縁起が良く、祝い事で使う食器類に使われる事が多いです。

吉田屋(よしだや)

「吉田屋」は古九谷が閉窯後約130年後に開窯したと言われています。伝統画風「時代絵」のひとつで、青手古九谷をもっとも受け継いだ作風と言われております。装飾は花鳥風月が多くありますが、技法は青手の為赤を使わない四彩で作られています。

庄三(しょうざ)

「庄三」は再興九谷の一つで、古九谷から再興九谷の全ての作風を取り入れた、和洋折衷となった作風です。庄三風は九谷庄三という人物によって開窯します。当時輸入が始まったとされる洋絵具をりいれた「彩色金襴」を確立させました。明治の初めには輸出される様にもなり、「ジャパンクタニ」として世界に知られる様になりました。

代表的な技法

九谷五彩(くたにごさい)

九谷五彩(くたにごさい)は、九谷焼の伝統的な技法の一つで、鮮やかな色彩が特徴的な技法です。この技法では、赤、黄、緑、青、紫の五つの色を主に使用し、これらの色を緻密に組み合わせて豊かな色彩を表現します。

赤絵(あかえ)

赤絵は、日本の陶芸における伝統的な絵付け技法の一つです。絵付けの際に赤い顔料を用い、細かな筆使いで陶器に模様や図柄を描き、その後焼成することで模様を焼き付ける繊細な模様や細密な描写の技法です。

青手(あおで)

青手の特徴は、五彩の赤を使わず、緑を大胆に使用して装飾します。また、器の白い部分を残さずに、”四彩”や”三彩”で塗る「塗埋手(ぬりうめで)」という技法も特徴的です。

金襴手(きんらんで)

金襴手は、洋絵具と金彩を組み合わせ、赤絵の細やかな装飾に金を使って華やかに彩られた絵付け技法です。この技法は、「彩色金襴手」と呼ばれ、明治時代以降に九谷焼の主流となりました。

金襴手には、いくつかの方法があります。まず、「金描き」では、金泥を使って細かな線を描きます。次に、「金振り」では、金粉を散らして模様を表現します。そして、「金貼り」では、金箔を器の表面に貼り付けて装飾します。

このように、金襴手は多彩な技法を用いて、美しい金色の装飾を施します。そのため、九谷焼の作品には豪華で華やかな雰囲気が漂います。

九谷焼には陶器と磁器がある

先ほどから「陶磁器」となんども書いていますが、九谷焼には陶器と磁器の両方があります。

では陶器と磁器はの違いは何?見た目は?使い方は?をご説明していきたいと思います。

違いと見ため

陶器

原料:陶土(粘土)

厚さ:全体的に厚め

手触り:ざらざら

音:鈍い音

高台:釉薬を使っていないので、土の色がでる

熱伝導:低い

熱が伝わりにくいため、ゆっくり温まってさめにくい

磁器

原料:陶石(石の一種)で白く堅い

厚さ:薄く、軽い

手触り:つるつる

音:指で弾くと金属音で“チン”と鳴る

高台:高台にまで釉薬を使っているので、白い

熱伝導:高い

温まりやすく冷めやすい

使い方

使う前

九谷焼の器を使う際に注意すべきことには、表面にひびのような模様が見られるものがあります。これを「貫入(かんにゅう)」と呼びます。貫入は吸水性が強いため、使う前に水に浸けて充分に水を吸わせることが大切です。そうしないと、醤油や果汁などの色素が染み込んで落ちにくくなり、またカビが生える原因となります。

使う前に、器を米のとぎ汁や塩水で煮るという方法も効果的です。これにより、器の表面に付着した不純物や余分な水分が除去され、より清潔で長持ちすることが期待できます。

使った後

使い終わった器は、早めに水につけて中性洗剤を使い柔らかいスポンジで洗いましょう。こびり付いた汚れは水でふやかしてから洗うと無理なく取る事ができます。ゴシゴシ洗うと細かい傷がつくので、柔らかい面で洗いましょう。また、器の形によっては壊れやすい形もあるので互いにぶつからないように注意して洗ってください。

洗った後は、水気を十分に拭き取ります。湿気を含んだまま収納するとカビの原因になるので、特に気をつけましょう。熱湯に通すと早く乾燥し、カビの予防にもなります。茶渋がついた器には、台所用の漂白剤を使うこともできますが、色落ちの恐れがあるので注意してください。

電子レンジを使う場合の注意点

九谷焼の器には、金銀彩が施されたものは電子レンジでの使用はできません。なぜなら、金銀の模様も金属食器と同様に電子に反応し、火花が発生し、器や電子レンジが損傷する可能性があります。さらに、金属が火花を起こすことで火災の原因にもなります。そのため、金銀の模様がある器は絶対に電子レンジで使用しないでください。

また、貫入(ひび焼)のある器は、長時間使用するとまれに破損することがあるので注意が必要です。安心して使用できる器は、耐熱用や電子レンジ用と表示されているものです。これらを選ぶことで、安全かつ快適に九谷焼の器を使うことができます。

イベントやおすすめのお店紹介

今年は年始から大きな地震もあり石川県はまだまだ復興の途中。被災した石川県のみなさまが少しでも早く日常を取り戻せる様、また、亡くなった方々のご冥福をお祈りすると共に、ご家族の皆様が少しでも明るい気持ちで過ごす事ができる様心よりお祈り申し上げます。災害で被害に遭った九谷焼が少しでも多くの人の目に、手に触れる事ができる様この記事を書いています。

第115回九谷茶碗まつり

石川県陶磁器商工業協同組合が毎年GWに開催している九谷茶碗まつりが今年も開催されます。

今年は各店舗・窯元・作家が集合する会場にて分散して開催されます。

  • 根上総合文化会館:石川県能美市大成町ヌ118番地
  • 和田山会場(能美ふるさとミュージアム隣):石川県能美市寺井町を35
  • 九谷陶芸村:石川県能美市泉台町南22(実店舗のみ)

能美市のコミュニティバス「のみバス」を利用すれば、能美根上駅からまつり期間中は乗車料無料で会場を回る事ができます。助かりますね!

能美根上駅の始発はAM7:31。9時以降は約30分ごとに出ています。

能美根上駅→「のみバス」乗車→乗車時間約3分で根上総合文化会館到着!

根上総合文化会館から「のみバス」乗車→乗車時間約12分で能美ふるさとミュージアムに到着→徒歩約3分で和田山会場に到着

能美ふるさとミュージアムからは観光ルート(陶芸村・辰口温泉行き)の「のみバス」に乗車→乗車時間約8分で九谷陶芸村到着

帰りは九谷陶芸村から能美ふるさとミュージアムへ行き、「連携ルート(日中)能美根上駅行き」で駅まで戻れます。

能美ふるさとミュージアムから駅に戻る最終バスはPM6:30なので、たっぷりまつりを楽しめますね!

そのほかは能美市内にある実店舗で開催されます。

普段使いできる物から、美術品まで特別価格で販売されるのでぜひ行ってみてくださいね!

各会場、それぞれに駐車場が完備されているので、車も安心!

現在分かっている開催内容のまとめ

第115回九谷茶碗まつり
開催日令和6年5月3日(金)~5日(日)3日間 9:00~18:00 (最終日は17:00まで)
場所根上会場(根上総合文化会館)
和田山会場(能美ふるさとミュージアム隣)
九谷陶芸村(実店舗のみ)
能美市内実店舗
窯元
※それぞれの場所で開催されます。 
費用無料
問い合わせ石川県陶磁器商工業協同組合 0761-58-6656
公式HP石川県陶磁器商工業協同組合
アクセス※能美ふるさとミュージアムまで/IRいしかわ鉄道「能美根上駅」からバス約15分「能美ふるさとミュージアム」下車、九谷陶芸村まで/北陸新幹線「小松駅」もしくはIRいしかわ鉄道「能美根上駅」から車約15分、またはIRいしかわ鉄道「能美根上駅」からバス「九谷陶芸村」下車

石川県九谷焼美術館

古九谷から再興九谷など、九谷焼が展示紹介されているため、より詳しくその世界観や歴史などを知る事ができます。

石川県九谷焼美術館
開館時間9:00–17:00 (月曜日休館)
年末年始 (12月29日~1月3日) も開館。
場所石川県加賀市大聖寺地方町1-10-13
費用一般:560円
75歳以上:280円
高校生以下:無料
問い合わせ0761-72-7466
公式HPhttp://www.kutani-mus.jp/ja/
アクセス電車
IRいしかわ鉄道 大聖寺駅から徒歩8分
北陸新幹線・IRいしかわ鉄道 加賀温泉駅から、キャンバス海まわり線18分車
加賀ICから10分
小松空港から30分
どうぞご利用ください。

まとめ

今回は石川県の伝統工芸「九谷焼」の魅力についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?

美しい色彩と繊細な絵付け、そして窯ごとに違う作風、技法がとても魅力的でしたね。九谷焼は茶道具から日常の器、美術品まで幅広く製作され、伝統と革新が見事に融合した作品達は、石川県の風土や文化を象徴しています。

このGWは石川県へ足を運んでみてはいかがですか?豊かな色彩と繊細な絵付けが生み出す季節の移り変わりや自然の風景は、見る人の心を魅了する事間違いなしです。

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